中古車販売店を開業するにあたって、資金繰りは必要不可欠です。
開業時には多くの資金が必要となり、特に融資や自己資金の準備が成功のカギを握ります。適切な資金調達を行わないと、事業の初期段階で資金が不足し、経営が軌道に乗る前に困難に直面することもあります。そのため、今回は中古車販売店開業時に必要な資金繰りの基本や具体的な開業資金の内訳、そしてスムーズな資金調達の方法について詳しく説明します。
また「中古車販売店開業マニュアル② ~補助金&減免制度編~」という記事で、補助金や免税制度について解説しています。資金繰りにお困りの方はこちらも合わせてご確認ください。
この記事をざっくり言うと
- 資金繰り表で将来の資金を見える化しよう
- 開業時は日本政策金融公庫を活用しよう
- 融資は開業前から準備し信頼構築が大切になる
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- 資金繰り表は会社のお金の見える化
- 資金繰り表の作り方
- 新規開業融資の相談にメガバンクはNG
- 資金繰りの順番は自己資金、日本政策金融公庫、信用組合・信用金庫
- 融資は開業前から準備を行う
- 金融機関との信頼関係を高める
- 資金繰りには堅実な積み重ねが大事
資金繰り表は会社のお金の見える化
経営に必要なものは「人・モノ・金・情報」と言われますが、中でも無くなっただけで会社が倒産するのは「金」です。優秀な人材がいなくても、どれだけ孤立しても、お金があれば廃業はしません。それだけ、会社にとってお金は重要です。
開業すると、やりたいことや欲しい人材が増え、次々と新しいことに興味がわきます。しかし「素晴らしい人を確保できたのに給料が払えない!」となっては本末転倒です。このような事態にならないためにも資金繰りは重要なのです。上手に資金繰りをするためにも、ぜひ「資金繰り表」を作りましょう。
資金繰り表の作り方
「資金繰り表」は会社のお金の「見える化」です。それなら通帳残高の確認で十分では?と思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。通帳残高の推移は過去のお金の流れです。これに対して資金繰り表は未来のお金の流れを知るものです。資金繰り表を作るにあたっては、次の3つに気を付けてください。
①作る範囲は向こう1年分
資金繰り表を作る時には、1年先までを予想して作ってください。「予想」なので外れる可能性は高いですが、お金の流れを正確に把握するためにも実額に合わせて資金繰り表を毎月修正しましょう。
②利益予測の立て方
向こう1年の売上と経費の予測を立てます。経費は「商品の仕入代金」と「会社の維持費」の2つに分けてください。商品の仕入れ代金は、売物である中古車の仕入値です。修繕を行い販売する場合は、修繕費も合わせて考えます。おおむね売り上げの80%~90%になります。
会社の維持費は、給料や水道光熱費になります。損益計算書でいうところの「販売費および一般管理費」です。毎月同じぐらいの金額を設定してください。
③借入金や返済も含める
資金繰り表を作る際には、会社にとっての売上や経費以外の入出金を加えてください。少額のモノであればざっくりで構いませんが、資金の借入や返済は高額になるため、必ずスケジュールに組み込んでください。大型機械のリースなども継続的にお金を払い続ける必要があるので注意が必要です。
資金繰り表の見本をダウンロードできます。
「資金繰り表の作り方」の3つのポイントを押さえた見本(Excel形式)をダウンロードできます。御社の資金繰り表作成の参考としてご活用ください。
新規開業融資の相談にメガバンクはNG
新しく事業を始めるにあたっては、金融機関から資金の借入は欠かせません。この時、融資の相談は、下記のいずれかへ行ってください。
- 税理士・会計士・中小企業診断士等の専門家
- 日本政策金融公庫
- 信用金庫・信用組合のような小規模な金融機関
開業融資を受けるには説得力のある経営計画の作成が必要です。つまり戦略的で数字的根拠のある資料が必要となります。経営者が事前に経営の勉強をきちんと行っており、自力で書けるだけの能力があればかまいません。しかし通常は困難だと思いますので、上記のような専門家にサポートしてもらいましょう。
また、このような場合、メガバンクへ行くことはおすすめしません。なぜならメガバンクが優先するお客様は大企業だからです。メガバンクほどの資金量があると、小さな会社を相手にしても儲かりません。ましてや新規開業するような会社を手厚くフォローしている余裕はありません。そのため融資のサポートなどはほとんどしてもらえないでしょう。
資金繰りの順番は自己資金、日本政策金融公庫、信用組合・信用金庫
開業するにあたって金融機関からどの程度を借り入れる予定でしょうか。新規開業融資は、よほどの理由がない限り300万円~500万円ぐらいだと考えておきましょう。もちろん、それ以上受けられる場合もありますが、当初の計画段階ではボーナスぐらいに考えたほうが無難です。
そのため中古車販売店を開業する場合、まずは一定の自己資金が必要になると覚悟してください。そのうえで、開業時の融資を受ける場合、初めに日本政策金融公庫から受けるのが基本です。もちろん、信用組合・信用金庫からの借り入れも可能ですが、日本政策金融公庫は中小企業に融資をする行政機関であるため、一般的に融資の通りやすさは金融機関の中でも高いと言われています。一方、信用組合・信用金庫は民間の営利企業であるため、スピーディーに進められる可能性があります。
融資は開業前から準備を行う
融資を受けるにあたっては開業前から準備を行いましょう。開業後に受けられないわけではありませんが、場合によってはかなりハードルが高くなります。開業前に融資を受けておらず、開業後に融資を受けたくなる場合というのは、大きく分けて2パターンです。急激に成長したために資金が不足した場合か、思ったように儲からず資金が不足した場合です。前者の場合には融資は通りやすいですが、後者の場合かなり厳しくなります。
貸す側にとっては、融資の返済と利息の支払いを受けて初めて利益になります。そのため、貸す相手は返済と利息の支払いができることが前提です。しかし、開業後に思ったほど売れずに融資を受ける場合は、通常赤字です。そのため、融資を受けるにあたっては、今後は利益が上がるという計画を立てなければなりません。もちろん、紙の上で数字をいじったものではなく、良く練られた経営計画でなければいけません。
しかし開業当初から赤字の会社が、今後V字回復して黒字化する説得力のある計画を立てることは簡単ではありません。資金に困ってから融資を受けるのではなく、事前に受けておくことが大事です。
金融機関との信頼関係を高める
中古車販売業に多くの資金が必要なことは金融機関も理解しています。そのため金融機関も優良な中古車販売店には多額の融資を行いたいと考えています。このような会社になるためには、金融機関との信頼関係を高める必要があります。金融機関との信頼関係は、財務諸表の数字、経営者の姿勢、資金の使用状況、返済実績、取引振りなどを通じて高めていきます。
全く利益が出ていないのに、新規開拓や営業努力が見られない期間が何年も続けば、金融機関としては信頼することができません。資金を事業以外へ流用している、約束が守られない、利率だけでころころ借入先が変わる、といった行為でも信頼関係は崩れます。
金融機関はお金を貸し、貸した先の業績を好転させ、利息を払ってもらい利益を得る営利企業です。 返してもらえる当てがなく、利息を払ってもらえない会社には資金を融資することはできません。
資金繰りには堅実な積み重ねが大事
資金繰りは奇抜なアイデアでは改善しません。着実な積み重ねが必要です。まずは資金繰り表を作り、金融機関と真摯に話をしてください。金融機関と誠実な付き合いを続ければ、本当に苦しくなった時にも、ギリギリまでサポートしてくれる強い味方ができます。
信用組合や信用金庫では数字は重要ですが、会社を数字だけでは見ません。社長のやる気や熱意、真面目さなど人となりも見ています。より良い関係が築けたときには、安定した資金繰りができるようになっているでしょう。
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よくあるご質問
Q.円滑な資金繰りを行うためにはどうしたらいいですか?
A.資金繰り表を作成しましょう。資金繰り表を作成することで経営する上での将来的なお金の流れが把握でき、資金繰りを効率的に行うことができます。
Q.融資を受ける準備はいつごろから行いますか?
A.開業後に受けられないわけではありませんが、場合によってはかなりハードルが高くなるため、開業前から準備を行いましょう。
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