2023年10月より中古車を販売する際に支払総額を表示することが義務付けられました。本記事では、そもそも支払総額には何を含めるべきなのか、広告表示と異なる請求をした場合どうなるのか詳細を知りたい方に向けて、今回の制度改正の概要と今後の広告表示のポイントを解説していきます。
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- 中古車の支払総額表示義務化とは?
- 支払総額表示義務化のポイント
- 「支払総額」に含めるべき項目
- 「支払総額」に含めてはいけない項目
- 車検の状態別の広告表示について
- 「不正な価格表示」を行った場合の厳罰
- 「symphony」は中古車販売店様に役立つ情報をお届けいたします
中古車の支払総額表示義務化とは?
支払総額表示義務化とは、中古車販売の広告露出において「支払総額」での価格表示が義務付けられたことを指します。2023年10月に改正された自動車公正競争規約・同施行規則に規定されており、広告表示と異なる請求を行った場合には走行距離や修復歴の不正表示と同様に厳しい罰則が課されるようになりました。
以前は広告で集客する際には安価な車両価格のみを表示し、商談時に高額な付帯サービスや不適切な諸費用を含めて過剰な請求がなされるといった問題が一部で常習化しておりました。これが消費者の信頼を大きく損ない、また事業者間の公正な競争を阻害するとして、今回の規則改正に至りました。
一般社団法人自動車公正取引協議会が2021年3月に実施したアンケートによると、消費者の90%が支払総額表示を支持していることがわかっています。
一般社団法人自動車公正取引協議会アンケート支払総額表示義務化のポイント
支払総額表示義務化対応のためのポイントが以下になります。3つのポイントを踏まえ、詳細な対応方法を解説していきます。
ポイント① 中古車の販売価格は「支払総額」を表示
ポイント② 「定期点検整備実施の有無」の表示は「定期点検整備付き」又は「定期点検整備なし」と明瞭に表示
ポイント③ 「保証の有無」の表示は「保証付き」又は「保証なし」と明瞭に表示
今回の規約改正で表示義務が発生するのは「支払総額」「定期点検整備実施の有無」「保証の有無」の三つです。中でも「支払総額」に含むべき項目・含めてはいけない項目が明確に分けられたため、どこにどの項目を含めて算出すべきかメモしておくと良いでしょう。広告表示と異なる請求を行った場合、厳しい罰則が課されるので注意が必要です。以降では改めて「支払総額」について説明していきます。
そもそも支払総額とは?
支払総額とは、「車両価格」にその中古車を購入する際に最低限必要な「諸費用」を加えた価格を指します。ただし、陸送や県外納車をお客様が希望された場合は、希望に応えるための費用(県外登録費用、陸送費用など)を別途オプション料金として請求することができます。
また「車両価格」は車両本体の価格に、展示時点ですでに装備済みの装備(ナビ、オーディオ、カスタムパーツ)等を含めた料金になります。車両の品質に重要な影響を及ぼすため、定期点検整備、車検整備、保証が付帯されている場合にはこれら付帯費用も車両価格に含まれます。
「諸費用」には保険料、税金、登録に伴う費用が含まれます。具体的には「自賠責」「重量税」「環境性能割」「自動車税」「印紙代」「リサイクル料金」など保険料・税金と、「検査 登録手続代行費用」「車庫証明手続代行費用」などが登録に伴う費用として「諸費用」に含まれます。
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表示例からもわかる通り、Web広告・プライスボードともに以下の3点を明記する必要があります。
<広告表示に明記する必要がある項目>
①支払総額
②車両価格及び諸費用
③定期点検と保証の有無
<Web広告での表示例>
<プライスボードでの表示例>
支払総額を表示しその近接箇所に車両価格と諸費用、定期点検と保証の有無を表示することが表示のポイントになります。
ここで気をつけなければならないのは、細かな費用項目が支払総額と車両価格、諸費用のどこに加算して表示すべきかという点です。以下に「支払総額」に含むべき項目(その中で「車両価格」に含むべき項目、「諸費用」に含むべき項目)、「支払総額」に含めてはいけない項目を表にまとめました。
「支払総額」に含めるべき項目
「車両価格」に含めるべき項目 |
---|
納車費用、納車点検費用、納車準備費用、車内清掃、洗車、クリーニング、ワックスがけ等 (項目名称に限らず販売するにあたり当然行うべき作業にかかる費用) |
オイル、バッテリー交換等の軽整備の整備、部品費用 |
「定期点検整備」及び「保証」を付帯して販売する場合の整備、部品費用又は保証費 |
販売時に付帯することを必須とする物品やサービス |
リサイクル (※車両価格、諸費用のどちらに含めても可) |
「諸費用」に含めるべき項目 |
保険料、税金 |
登録に伴う費用(「検査 登録手続代行費用」及び「車庫証明手続代行費用」) |
リサイクル (※車両価格、諸費用のどちらに含めても可) |
※諸費用に含めてよいものは保険料、税金、登録に伴う費用(「検査 登録手続代行費用」及び「車庫証明手続代行費用」)のみです。 ※支払総額に含めていない費用を購入時に必須として請求する行為は違反行為になります。 |
「支払総額」に含めてはいけない項目
「支払総額」に含めてはいけない項目 |
---|
遠方納車の陸送費や管轄外登録(届出)費用 |
任意保険料、希望ナンバー申請費用 |
下取り諸手続き代行費用、下取査定費用 |
ETCセットアップ費用 ※セットアップ費用を含まない支払総額を表示した上で、「参考」として、セットアップ費用を含んだ支払総額を表示することは可能。 |
※支払総額に含めていない費用をお客様の任意で商談時に追加し、販売することは可能です。 |
車検の状態別の広告表示について
車検整備付きとは・・・
法定24ヶ月定期点検整備/商用車は12ヶ月定期点検整備を含めた車検取得の為の整備を行う費用が車両価格に含まれている事
車両価格の説明時に少し触れましたが、販売車両の車検の状態によっても広告表示が分かれるので注意しましょう。
車検残の状況により変化する表示を、以下の表にまとめています。
車検残の状況による表示の変化 | 広告表示 |
---|---|
車検残がある | 保険、税金、登録に伴う費用を含めた支払総額を広告表示 |
車検残がない(車検整備付き) | 車検整備費用を含めて保険、税金、登録に伴う費用を含めた支払総額を広告表示 |
車検残がない(車検整備なし) | 車検整備費用を含めずに保険、税金、登録に伴う費用を含めた支払総額を広告表示 |
「不正な価格表示」を行った場合の厳罰
支払総額表示義務化により、今後「不正な価格表示」が行われた場合には走行距離や修復歴の不正表示と同様に厳罰が課されてしまいます。具体的には初回から厳重注意され、悪質なものは併せて「事業者名の公表」や「違約金」が課されることがあります。場合によっては事業継続ができなくなる恐れもありますので注意しましょう。
「不正な価格表示」ですが、自動車公正取引協議会の改正規約では以下の2つの例が挙げられています。
・表示した「支払総額」で販売しない(保証や整備費用等を別途請求した)場合
・「納車準備費用」等、本来「車両価格」に含まれるべき中古車を商品化するための費用を、「車両価格」に含めず別途請求した場合
※他にも含むべき項目、含めてはいけない項目の表示が異なっている場合は「不正な価格表示」となる可能性が高いので注意して「支払総額」を算出しましょう。
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